4. 二つの現実
Maiのリアルエッセイ Find Me In the Dark —— あの頃子供だった私たちへ—— 前回までのストーリー 『Episode1. The Fate 運命の歯車』 『Episode2. Ending & Beginning 終わり、始まる』 『Episode3. 一つ屋根の下』 Episode4. 二つの現実 母にとってはたわいもない言葉が、自分を深く傷つけていることを
勇気を振り絞って伝えた11歳の私。 洗濯物をたたむ手を動かしていた手を止めることなく
一瞬こちらを向いた母は目を釣り上げ、怒った声で言った。
「はぁ?なにを馬鹿なことを言ってるの」 それ以上何も言うことはないとばかりに、黙々と作業を続ける彼女。
言えば分かってもらえるかもしれない、という希望はその一べつでかき消され
さっきまでの緊張感が、味気のない虚しさに変わった。
言葉を返す気力さえ失った私は、ただその場を去り
何事もなかったように、それまでの日常は繰り返された。
人に気持ちを伝えても、聞いてはもらえない
私の気持ちは大切ではないのだ、という