Maiのリアルエッセイ
Find Me In the Dark
—— あの頃子供だった私たちへ——
前回までのストーリー
Episode10. 五線譜の上のココロ
6歳の時から毎日のように聞かされていた
『お前はピアノを弾いて、先生になるんだよ』
という言葉。
それは9年後のある日
『お前は曲を書いて、作曲家になるんだよ』に代わり
その時中学3年生だった私は、その翌週から毎日作曲理論を学んだ。
バロックから古典派にかけての音楽理論や
作曲形式を学んでいくそれは、難しいものだったが
何よりも私が心配していたのは
もしも転科試験に合格してしまったらどうしよう、という不安だった。
合格したら、プロを目指す学生として
もしかしたらその後7年間、音楽を創り続けなければならないのだ。
子供の私にそれは途方もなく長い時間のように感じられ
曲を書くということに、興味も自信も全くなかった私は
本当に曲など書けるのかという不安と
自分の書いた作品に、評価が下されるという恐怖
そして本気で作曲家を目指しているであろう、他の学生たちの中に混じるという
恥ずかしさのようなものを感じ
『受かりたくない』という強い思いと
それに反し『絶対に受からなければ』
という矛盾した思いが毎日交錯する中
勉強を続けていた。
そして母の奇異な行動を隠すために
同級生や担任の教師、そして作曲の講師に対し
私は自分の意思で作曲家を目指しているのだと
嘘をつき続けることが余儀なくされた私は
感情こそほとんど何も感じてはいなかったが
全身に溜まっていくその気持ちの悪い感覚は、拭うことができなかった。
そして結局、母の計画通りに
私はその後の7年間を、作曲家を目指す学生として歩んでいくことになる。
全く興味深いことに
子供だった私の純粋な目は
どうやって知ったのか、大人には分からないような真実を
自分でも気付かぬうちに、捕らえていった。
どうにかこうにか曲を書き続けているうちに
音楽を生み出すためのインスピレーションを得るには、感情が必要だ
ということに、無意識に気付いていったのだ。
感情を感じなければ
インスピレーションを感じることはできない。
そして全くの無意識の中、失った自分の感情を感じ始めた。
空に向かって一直線にそびえ立つ木々を見上げ
木の葉の間を移ろぐ光を、じっと眺めたり
揺さぶられるような
悲壮な曲調で書かれたロマン派の交響曲を、繰り返し聞いたり
それまで触ったことのない様々な楽器に触れ
どんな音がするのかと、その音色に耳を澄ませたり
所属したオーケストラの、約70もの楽器たちが一斉に奏でる
壮大な音にその身を委ねるうちに
切り離され、居場所を失っていた感情が
私のココロに戻る代わりに
五線譜の上に写されていくようだった。
必死に書き続け、多少なりとも教授たちから認められると
母は満足気な表情で
「私のおかげよ。
曲なんてすぐ書けると思ったわ。
あのまま下手くそなピアノを続けていたって、何にもならなかったじゃない。
だからあんたは全部私の言う通りにしていればいいのよ。」
と言った。
今の私が理解していることは 幼い時から始まった、母の意向による教育方針に従うため 『No』という自分のココロの声を無視し やりなさい、という母の声に従い続けた結果 自分のココロの声は次第に小さくなり それと同時に 自分は一体どういう人間で 何がしたくて 何のために生きているのか という自分のココロの『Yes』の声も 聞こえづらくなったということ。 『Yes』も『No』もほとんど聞こえていなかった私は 自らの幸せを探そうと 母から離れ、アメリカに移住してからも 結局何がしたいのか分からず、あてもなく彷徨い続けることになったのでした。 Integrated Healingに出会ったことによって、本来の自分を取り戻していくと ほとんど虫の息だった私のココロは ゆっくりと再び鼓動を甦らせ 息を吹き返してきたココロの声に、私自身が耳を傾け その声を生かし、行動し続けるうちに 自分は何がしたいのか 何のために生きたいのか、という自分の中の『Yes』を ハッキリと感じられるようになっていきました。 人生は、自分の想像を遥かに超える大きな範囲で 自分を導いている。
だから
今、分からないことは
分かる時がいつか必ずやってくる。
そしてそのタイミングは、完璧なのです。
Arches N.P. UT
に続きます。
自分が感情を切り離したことすら覚えていなかった、当時の私。
ある出来事がきっかけで、その事を思い出します。
無意識のブロックを外し、自分の『やりたい』を見つけ
思いっきり輝くわたしであるために。
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