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Mai Littlebridge

9. 新たな挑戦

更新日:2021年7月12日



Maiのリアルエッセイ


Find Me In the Dark

—— あの頃子供だった私たちへ——






前回までのストーリー












Episode9. 新たな挑戦



姉が家から消え 残された私は、翌年の高校入試を控えていた。 同じクラスの生徒数名が、ピアノ専攻をやめ 声楽科へ進むらしいと、別の親から聞いた母は驚き


私のぱっとしない成績を見て、思いついたのだろう ある時、いつものように学校から帰った私に、母はこう言い渡した。 『もう、ピアノは弾かなくていい。 今日からお前の専攻は、作曲になる。 良い先生を見つけておいたから今から電話して、師事をお願いしなさい。』 彼女は一体何を言っているのだろう? あまりに無鉄砲な発言に頭の理解が追いつかず 真っ白になった頭で、なんとか彼女に返す言葉を絞り出した。 『そんなこと、できない 曲を創るだなんて。 譜面を見てピアノを弾くのとは違う。 私、ピアノが前より好きなんだよ。 このままピアノを専攻する。』 『そんなに下手くそなんだから、これ以上続けたってどうせ無駄よ。 もういいわ。 あの子たちは声楽科を受けるんだってよ。 あんたは作曲専攻で試験を受けなさい。 曲なんてすぐに書けるようになるわよ。 はい、ちゃんと先生にご挨拶して』 言葉も出ずに黙りこくる私に、彼女は苛立ちを露わにし 声を荒げて付け加えた。 『あんたねぇ、自分に選ぶ権利があるとでも思ってんの? お前のせいで、ママは他のお母さんたちからどう思われてるか。 あの下手クソな子のお母さんだってね! 恥ずかしくて、これ以上生きていけないわよ! 専攻を変えないんだったら 今ここでお前を殺してやる。 お前を殺したら、私も死ぬ。 どっちにするの?』 そう言って ブルーの見慣れた受話器を私に差し出した彼女の もう一方の手には 台所にあったはずの、包丁が握られていた。 喉元に突き立てられた刃先が 皮膚の表面に食い込まれるのを感じながら 私は微かに震える手で、受話器を握った。 その時私の目に写っていた、いつものリビングルームの風景は まるで見たこともない場所のように見え これは一体、誰の現実だろうかと 奇妙な違和感を感じていると 電話の向こうに、この風景とあまりにも対照的な 朗らかな男性の声が現れた。 『もしもし?』

『———— 私、作曲を勉強したいんです。』 乾いた自分の声を聞きながら ココロが更に深い、大きな暗い穴に落ちていくような感覚を ゆっくりと感じた。 その後どうやって受話器を置いたか 覚えていない。



 


今の私が この頃の母の目から見た現実を、想像して感じるのは 娘が行方不明になったショックと、悲しみ 安否が知れぬことへの不安と焦り。 あんなに最善を尽くしたのに どうして自分の子育ては失敗したのか?という混乱と 姉への怒り。 そして残された私に向けられた、更に支配的な 歪んだ愛の形。 子供だった私のココロにしっかりと刻みこまれたことは 愛とは、矛盾する駆け引きのようなもの ということでした。 私の言うことを分かってくれないのなら、私の前から消えて と突き放し いなくなると焦って連れ戻し 私の言うことを聞いて、と泣き叫び ひどい言葉を投げつけ 相手を突き放しては また連れ戻す。 母が繰り返したこのパターンは、無意識に刷り込まれ


大人になった後も、私は自分の現実に


お互いの気持ちをただ刃物のように投げ付け 傷付け合い 何も生み出すことのない人間関係のパターンを


何度も引き寄せていきました。 無意識に繰り返されるパターンを上書きし、 望まない現実を続けることをやめ 自分の意思で 心から安心できる人間関係を築くことができるのだと 自分という存在には、それだけの力が備わっているのだと 私が気付いたのは この時から何年も後 Integrated Healingに出会ってからのこと。

どれだけ自分がココロを忘れようとも 『愛』が自分を忘れることは、決してないのだということを 知ることになります。

Healing— 癒しとは
親から刷り込まれたパターンを手放し
初めて自分を
自由にすること





今の私がもし、時間を遡って あの時の母と姉に会うことができるのなら 心から、強く 抱きしめたと思うのです。















に続きます。


母の意向に従い作曲を学んでいった私が、無意識のうちに知った

『音楽が生まれる場所』とは?









無意識のブロックを外し、自分の『やりたい』を見つけ


思いっきり輝くわたしであるために。


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