Maiのリアルエッセイ
Find Me In the Dark
—— あの頃子供だった私たちへ——
前回までのストーリー
Episode7. The Star— 人生の地図
痛みから自分を守るため、感情を切り離し
氷のように無表情だった私は、14歳になっていた。
母の意向に従ってピアノを猛練習し、中学校に上がると
各地からやって来た、才能に溢れるピアニストの卵たちの存在に母は焦り出し
追いつくのも必死だった私への批判は、ますます激しくなった。
ピアノを弾くことに全く興味がなかった私は、弾くことへの強い抵抗を体で感じながらも
母に逆らうという選択肢はなく、無表情にピアノを弾き続けた。
しかし毎日ピアノに向かう度に、私の意識はその場を去り
無空間に彷徨っていき
いくら弾いても母の望む成績を得ることはできなかった。
『全部あんたのために、ママは苦労してやっているんだから。
音大を出て、ピアノの先生になりなさい。』
幼い時から毎日のように繰り返し聞かされた言葉。
頭では、母は私のために言っているのだということを理解していたが
体全体に走る、この気持ちの悪い抵抗感と”自分の幸せのため”というイメージが全く一致せず
一体自分はここで何をしているのだろうと
生きる意欲も感じられないまま、毎日をただこなしていたある日。
人生の希望となる光が、突如目の前に現れた。
「私、アメリカに行くことに決めたの。」
小学校からの唯一の友人だった彼女は、唐突に言った。
「クラシック音楽をやめて、アメリカでプロのギタリストになる。
私、この場所が自分に合わないって感じるの。
ねぇ、大人ってみんなしかめっ面で、暗いじゃない?
でもねアメリカに行ったら、もっとみんな明るくって、もっと自由なんだよ!」
目を輝かせながら語った友人の言葉は
夢も希望もない、真っ暗な毎日を過ごしていた私に
一筋の強烈な光をもたらした。
・・・・それって、ピアノを、やめるってこと?
お母さんの元を、離れるってこと?
ここを、出ることができるの?
私は
自由になれるの?
「私も行きたい!!!」
自分には選択肢がある
ということを初めて知った私は大興奮し
その日から、アメリカに行くことを夢見るようになった。
『お前は私の犬。
飼い主に噛み付いた犬が、どうなるか分かる?
殺されるんだよ。』
という母の言葉にずっと怯えていた私の
それまで真っ暗だった世界には、その日から一つの星が見えるようになった。
だが、飼い主に逆らったらどうなるかを
姉二人を見ていた私は、よく知っていた。
自分の力で、なんとかしなければならない。
大人になって、働いてお金を貯めて
いつか必ずここを出る。
だから
その時が来るまで、今は耐える。
大人になるまで、生きよう。
いつか私は必ず自由になる。
自由になるというその夢は、私の人生に初めての光を差し込み
そのかすかな光が灯る中で、ピアノに向かうと
私の意識がその場を離れることは、不思議と少なくなっていき
それ以降、私は少しずつピアノを弾くことを楽しむようになった。
自分の指が奏でる音に耳を傾け
この旋律をもっと美しく弾きたいと
音楽を追求していく楽しみを知ったのは、ピアノを弾き始めてから9年後のことだった。
Integrated Healingを学んで知ったことは
恐怖や強いストレスを感じると、脳の神経経路の一部が遮断され
いくら練習をしても、なかなか身につかないということ。
あの頃の私が、何よりも必要としていたのは
更なる練習でも、より厳しい指導でもなく
母からの暖かい言葉でした。
Healing ——癒しとは
ココロが本当に必要とするものに、気付くことから始まります。
に続きます。
徐々にピアノを弾く楽しみを見出していた私。
その頃家の中は、ますます異質なものになっていきます。
無意識のブロックを外し、自分の『やりたい』を見つけ
思いっきり輝くわたしであるために。
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